量子テレポーテーション

 (恒星間通信方式)

 

我々の太陽系のある銀河を上から見るのはそう簡単ではありません。【図1】

は我々の銀河系ですがMitakaソフト(無料)で作成したシミュレーション画像で

す。手の平のなかで自由に宇宙を転がすように観察ができます。宇宙の大規

模構造もズームを変えると観察ができます。

写真の大きな赤い円は太陽から半径1万光年の位置です。電波で通信すると

片道1万年、応答を返すと2万年かかります。

【図1】太陽系の銀河

  

最も近い場所で生命体のありそうな100光年離れた場所と電波で通信すると、

指示に対して応答が帰るまで200年かかります。人間の100年程度の寿命を

考えると、この宇宙探査は現実的な時間スケールではありません。

 

・量子テレポーテーション

もしもですが、100光年離れた場所でも、指示に対して瞬時に応答が帰って

くると、だいぶ状況が変わることでしょう。

この、理論的な可能性について確認します。

1997年: 初の量子テレポーテーション実演(ツァイリンガー 他)

2004年: 量子テレポーテーション100Kmを超える (PDF)

2007年: KEKが高エネルギーでも「量子もつれ」を観測

通常の光子以外の高エネルギーの素粒子でも「量子もつれ」が観測されました。

対になった反対側の素粒子も同時に状態が決定されていることが確認できて

います。「量子もつれ」を適切に制御できれば、量子テレポーテーションという距

離に関係なく瞬時に情報の転送が可能となります。理論的には地球の表と裏

側の関係である東京とニューヨーク間でも直接 量子テレポーテーションによ

る通信ができることになります。

電波で通信をおこなえば、エネルギーの転送ですので光速を超えることができ

ませが、瞬間的に量子量の転送をする量子テレポーテーションはエネルギーの

増減がありませんのでアインシュタインの相対性理論とも矛盾しません。

光子は波長以外に偏光という量子量があります。偏光メガネは日常生活でよ

く使われています。量子もつれ状態にある光子のペアでは、片方の光子の偏

光の傾き(光の波としての振動面の向き)の測定結果から他方の光子の偏光

の傾きを瞬時に決定され、このような性質を用いて遠く離れた空間での量子的

情報の伝達が可能となります。

なお、量子もつれで瞬時に状態が伝達されていることは確認されていますが、

意図的に偏光面を選択することができておらず、情報を瞬時に送信する事に

まだ成功していません。(2007年現在)

量子テレポーテーションは最近発見された事象ですので、瞬間的な情報伝達

の可能性が否定されているわけではありません。2個の光子もつれだけでは

なく、既に3個の光子もつれまで拡張する事にも成功しておりまので、しだいに

量子量の制御も可能になるのではないかと期待されます。

 

【図2】量子テレポーテーション

 

・恒星間通信  (母船「宇宙船」------100光年----- 母惑星)

【図2】のような構成にすれば、100光年離れた母船と母惑星間であっても

「もつれたレーザービーム」でおこなえば100光年離れていても、リアルタイ

ムに近い状態で通信ができる可能性が見えてきました。

どんなに離れていても瞬時に情報伝達ができるのであれば、かなり無理を

をしてでも出かけようとするはずです。今の技術を使っても、その惑星に

生命体があることは事前に観察が可能です。しかし、どのような生命体で

あるのかを知るためには、近くまで行って観察するしかありません。

 

限られた寿命しかない人間のような生命体が最初に行くにはあまりにも

ハードルが高いように見えます。最初はある程度の知能をもった、寿命

部品は交換できるようなロボットが適切なはずです。

移動するのに1000年かかったとしても、瞬時にデータが転送できれば、

より高度な知能を持つロボットを造るように指示を与えることができます。

また、生命体でなければ交換や改造が容易にできます。

なお、【図2】のような単純な系では送信用と受信用の2系統の通信路が必

要となります。




・UFO@ETの通信方式 (UFO@ET ---------母船「宇宙船」)

 UFO@ET(地球外知的生命体の乗り物)と母船の間で通信をする場合は

「もつれたレーザービーム」での通信は難問があります。レーザービームで

は雲の下などでは光が遮られてしまいますので通信ができません。

この場合は「量子メモリ」を使った通信となるのであろうと考えたほうが良

いかもしれません。母船に「量子メモリ(a)」がありUFO@ET には「量子

メモリ(b)」があるとします。(a)と(b)は「もつれ」の状態にしておきます。

UFO@ETの「量子メモリ(b)」に書き込みをおこなえば、母船の「量子メモ

リ(a)」にデータを送ることができます。

地球の表と裏のようなさえぎる物体があっても、量子メモリを使えば直接

通信ができます。(量子メモリはまだ実現していません。2007年)

また、UFO@ET に通信のためのアンテナの突起物を取り付ける必要

もなくなり、金属で密閉された物体の中からも通信が可能となります。

私は通信を専門としていましたのでUFO@ET に何故突起物とか開口

部が無いのか不思議に思っていました。人類の探査機には必ず通信

用のアンテナがあります。

 


・我々の宇宙船について

太陽系以外の惑星で生命体を発見し、どうしても行きたと思った時に、

我々の通信方式は変わるでしょう。

人類は選ばれた特別な存在なのか、普遍的存在なのか、その答は

地球にはありません。いずれはその答えを求めて旅に出ることになる

であろうと感じています。



  初版: 2007/04/22

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